【4回目 状況調査】男女正社員対象 DEI推進状況調査(2024年実施)

本調査の特徴

■2018年から隔年で、日本企業におけるDEI推進状況を調査
21世紀職業財団では、企業におけるDEIの推進状況を調べるために、正社員を対象に、2018年から2年に1回「DEI推進状況調査」を実施してきました。

■2024年調査では、管理職と一般社員の認識の違いも分析
第4回目の今回は、一般社員に加え管理職も対象とし、一般社員と管理職の認識の違いも分析しています。

調査概要

実施日時:2024年7月16日~8月1日

調査方法:WEBアンケート調査

調査対象: 11業種、従業員101人以上企業に勤務している20~59歳の男女正社員

有効回答数:男性2,740名 女性2,558名 合計5,298名
      うち管理職 男性500名 女性410名 合計910名

一般社員については、就業構造基本調査の規模別年代割合に合わせ、ウエイトバックし、集計した。

*本調査(2024年)の企業規模区切りは、女性活躍推進法の区切りに従い、101~300人、301人以上としている。

<グラフの表示>
・良い点は青枠、課題は赤枠にしている。  
・四捨五入により各項目の%を足しても100%にならない場合がある。

調査結果のハイライト

  1. 女性活躍推進の行動計画の認知度はいまだ不十分
  2. 女性活躍推進の取組みはやや進展
  3. 重要な仕事の担当は「男女関係ない」が増加
  4. 女性は「一皮むける経験をしたことがある」人の割合が男性より低い
  5. (1)一般社員では、現在マミートラックが3割以上、脱出が約2割
     (2)マミートラックを脱出するには上司や配偶者の影響も大きい
  6. (1)活躍(キャリアアップ&SWS*p10参照)とは
     (2)職場で社員の個性や多様性が大切にされている場合、「活躍」(キャリア アップ&SWS)の割合が高い
  7. 一般社員では、子どもの有無にかかわらず男性のほうが長時間働いている
  8. 男性はいまだ1か月以上の育児休業は取得しにくい
  9. 育休を「取得したかったが、取得できなかった」男性の割合が増加
  10. ハラスメントだと言われると困るので、指導や注意することを躊躇する管理職の割合が高い女性活躍推進の行動計画の認知度はいまだ不十分

1.女性活躍推進の行動計画の認知度はいまだ不十分

  • 女性活躍推進の行動計画の「内容を知っている」「おおよその内容を知っている」人の割合は、一般社員では、男性は、2020年に比べると高くなっているものの、男女とも3割未満である。
  • 管理職では、一般社員より割合が高いが、6割に達していない。

2.女性活躍推進の取組みはやや進展

  • 女性活躍推進の取組み状況について前回調査と比較すると、「積極的に行われている」「行われている」と回答した人の割合は、一般社員男性で4.9ポイント高くなった。一般社員女性では変化はなかった。
  • 管理職で「積極的に行われている」「行われている」と回答した人の割合は、男女とも7割近い。

3.重要な仕事の担当は「男女関係ない」が増加

  • 301人以上の企業規模の女性について、2022年と比較すると、「重要な仕事の担当は男女関係ない」と思う割合が高くなっており、総合職・エリア総合職女性についても同様であり、2018年調査以降の低下が止まった。しかし、2018年と比較するとほぼ同じ割合であり、大きな進展は見られない。

4.女性は「一皮むける経験をしたことがある」人の割合が男性より低い

  • 企業規模別に「一皮むける経験(*)をしたことがある」人の割合を見ると、どの企業規模においても、女性は男性よりも低い。

*「一皮むける経験」とは、次のような、仕事上の能力が大きく伸びるような経験。「入社3~5年目の異動」、「部門を横断するような大きな異動」、「プロジェクトチームへの参画」、「問題のある部門での大きな業務の改善や再構築」、「昇進・昇格による権限の拡大」、「新規事業・新市場・新分野のゼロからの立ち上げ」、「海外勤務」等。

5.(1)一般社員では、現在マミートラックが3割以上、脱出が約2割

  • 一般社員・管理職別にマミートラックの状況を見たところ、一般社員では、マミートラック(第一子妊娠前よりも難易度や責任の度合いが低く、キャリアの展望もない)にいる人が34.0%、マミートラックから脱出した(第一子妊娠前よりも一旦難易度や責任の度合いが低くなったが、現在は第一子妊娠前とあまり変わらない/やや高まっていて、キャリアの展望もある)人が20.1%である。
  • 管理職では、キャリア展望(第一子妊娠前と難易度や責任の度合いがあまり変わらない/やや高まっていて、キャリア展望もある)がある人が47.0%と一般社員よりは高いが、マミートラックにいる人が約2割。

5.(2)マミートラックを脱出するには上司や配偶者の影響も大きい

  • マミートラックを脱出した理由としては、働き方の変更との回答が約4割と最も高いが、上司の関わりが約3割、「パートナーへ働きかけて家事・育児の時間を増やしてもらった」との回答が約2割程度ある。

6.(1)活躍(キャリアアップ&SWS)とは

  • 多様な人が自分の能力を十分に発揮しながら、プライベートも重視し健やかに働くことができる状態を「活躍」している状態とする。常に長時間労働をしていないと務まらない職場では、仕事に長時間をあて られる人しか自分の能力を十分に発揮できない。また、プライベートの時間が十分に取れていても、仕 事で期待されず、能力が十分に発揮されていないのでは、個人にとっても企業にとっても社会にとっても 損失である。
  • ここでは、活躍を「キャリアアップできていると思う」&「持続可能な働き方をしている(Sustainable Work Style)」(キャリアアップ&SWS)とし、一般社員の女性を2つの質問( Q57_1「あなたは 自分がキャリアアップできていると思いますか。」とQ45「現在、あなたは、どのような働き方をしています か。」)から4つのグループに分けた。(以下の図参照)

6.(2)職場で社員の個性や多様性が大切にされている場合、「活躍」(キャリアアップ&SWS)の割合が高い

  • 職場が「社員の個性や多様性を大切にしている」に対する回答別に「キャリアアップ&SWS」の割合を 見ると、「非常に当てはまる」場合に最も高く46.4%、「まったく当てはまらない」場合に最も低く9.2%で ある。

7.一般社員では、子どもの有無にかかわらず男性のほうが長時間働いている

  • 一般社員では、子どもがいる人でも子どもがいない人でも、男性のほうが長時間働いている人の割合が 高い。
  • 管理職では、子どもがいる人では、男性のほうが長時間働いている人の割合が高いが、子どもがいない 人では、むしろ女性のほうが長時間働いている人の割合がやや高い。

8.男性はいまだ1か月以上の育児休業は取得しにくい

  • 男性が育児休業を取得しやすい期間について、1か月未満(「期間にかかわらず取得しづらい」「1週 間未満」「1か月未満」の合計)と回答した割合は、一般社員男性で62.1%、管理職男性で 69.0%と、高い割合である。

9.育休を「取得したかったが、取得できなかった」男性の割合が増加

  • 20代30代の男性について、2022年調査と比較すると、「子どもの出生や育児のために休暇・休業を 「取得したかったが、取得できなかった」と回答した人の割合が高くなっている。
  • 育児介護休業法の改正により、男性の育児休業取得率は、令和5年度雇用均等基本調査によると、 2022年17.13%、2023年30.1%と上昇しているが、取得しにくい職場が残っている。

10.ハラスメントだと言われると困るので、指導や注意することを躊躇する管理職の割合が高い 

  • 「ハラスメントだと言われると困るので、気になることがあっても、指導や注意することを躊躇してしまうことが ありますか。」という問いに対して、「しばしばある」「たまにある」と回答したのは一般社員の男性で60.7%、 女性では61.0%だった。
  • 管理職では男性で63.3%、女性で65.9%で、一般社員よりもやや高い割合だった。
  • 指導や注意は、適切な業務遂行および部下・後輩の育成のために必要であり、ハラスメントの正しい理 解とハラスメントにならない指導や注意の仕方を研修等で学ぶ必要がある。

OSZAR »